2011年7月31日日曜日

第22回協議会を傍聴して

先日の水曜日、7月27日、第22回がん対策推進協議会を傍聴してきました。
協議会を傍聴したのは、その前の第21回に続いてまだ2回目です。めまいがするほど多岐にわたる議題について、息をつくヒマもなく展開される議論に、なんて大変な仕事なのだろうと、委員の皆さんに本当に頭の下がる思いです。
今、協議会では、平成24年度予算の概算要求に向けて、重点事項の提案・整理が行われています。そうしたスケジュールも念頭に置きながら、何をどう提案していくのか、さぞ難しい作業だろうと見ていてため息が出ます。

そんななか、会長代理の天野委員から、がん検診について次のような意見があげられていました。
「厚生労働省、文部科学省、経済産業省によるがん対策関連予算は明らかであるが、がん検診を実施している市町村に配分される総務省による地方交付税についても、低調であるがん検診受診率の向上を図るため、予算執行状況を明らかにするとともに、その在り方についても検討すること」
協議会 資料2「平成24年度予算要求等に係る各委員意見一覧」より

これを拝見して、すばらしい!と思いました。

日本では、1966年に胃がん検診、翌年に子宮がん検診が国庫補助の対象とされて、1983年からは老人保健法によって市町村を実施主体とするがん検診が行われていました。その後肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診もはじまりました。
ところが、1997年、この老人保健法に基づくがん検診にかかる費用は、国庫負担規定の適用外とされ、一般財源化されて、地方交付税をもってまかなうことが決められました。

がん検診は科学的根拠に基づいて行われる必要があり、精度管理・事業評価、受診率向上対策のいずれにおいても、幅広い知見が必要になります。そうした知見は国立がん研究センターなどでまとめられ、国が「がん検診はこうあるべき」という指針を示しています。でもがん検診の実施自体は、地方に任されてしまっているわけです。

がん検診をイギリスや韓国のように、国家事業として行うべきかどうかは、議論のわかれるところかもしれません。しかし、がん検診の実施状況・精度管理が、市町村によってバラバラというのは、決して受診者の利益につながりません。どこに住んでいようと、今わかっているベストな方法で、がん検診を受けられる体制が整うこと、つまりがん検診の「均てん化」が必要です。

天野委員の今回の意見は、そこを睨んでの提案と私は理解しました。
今ある問題点を理解して、どのように実現可能な対応を求めていくか、難しい作業でしょうが、委員が指摘された点はとても重要で、現状を正しく把握するのに欠かせないと思います。

この意見がぜひとも今後のがん対策に反映されるよう、願っています。

協議会ではほかにも委員の皆さんからいろいろとすばらしい意見が出されていました。それらについては、またあらためて。

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