用語集

最終更新日:2015/07/08



  • 過剰診断(overdiagnosis)

    米国国立がん研究所(NCI)の情報ページをご紹介します。こちらです。

    そのなかにある図が、以下のもの。
    「過剰診断が起きるのは、検診で見つかったがんが、成長が遅かったり、ほとんど成長しなかったりして、将来的に生命を脅かすような健康上の問題にならない場合です」
    とあります。
過剰診断とは
過剰診断とは(出典:NCI Division of Cancer Prevention

図の縦軸は「がんの大きさ」で、下側の破線は「がんが症状を引き起こす大きさ」、上側の破線は「がんが死を招く大きさ」です。

横軸は「時間の経過」で、一番左の時点で「異常な細胞」が発生したとして、一番右は「ほかの原因による死」が訪れる時点です。

以下、本文ページの説明。

「鳥は、検査すらできないうちに飛びたってしまうような、非常に成長の早いがんを表しますが、こうしたがんは検診で見つかることはまずありません。非常に早いスピードで広がってしまうので、検診による検査にほとんど意味がありません」

「非常にゆっくり動く亀やカタツムリは、検診を受けたか受けないかに関係なく、良好な転帰となる(訳註:がんで命を落とすことはない)ので、本来検診による検査は必要ありません。しかし検診はこうした成長の遅い腫瘍を見つけることに特に向いています」

そのため、図の右側の説明にもあるように、亀やカタツムリのような腫瘍の場合は過剰診断が発生してしまいます。

「中間のタイプ(熊)は、手遅れになる前に発見した上で、治療介入によって結果を変える(訳註:命を救う)ことが可能かもしれないタイプです」

本文中には、過剰診断という問題への対処として次のように書かれています。

「過剰診断の不利益を和らげる方策のひとつは、検診で見つかったがんがどのような動きを見せるか、分子レベルでより正確に予測する方法を開発することです」

今の医学だと検診で見つかったがんは、「熊」とみなして治療せざるをえないケースがほとんどで、「亀かもな-」「きっとカタツムリ」と思ってもそう断言しきれず、治療による負担より、命を落としてしまうリスクの回避を優先せざるをえません。

「亀だ!」「カタツムリだ!」とより正確に診断できるようになれば、過剰診断はなくせる、ということです。

ちなみに、「熊」タイプのがんが治療によって命を救える可能性があることは、さまざまながんのさまざまな臨床試験で示されていますが、それを完全に無視して、「そもそもがんは、鳥かカタツムリか、どちらかしかないのだから、治療してもムダ」としているのが、近藤誠氏の放置療法、ということになるのだと思います。